パイロット 万年筆　カスタム８４５
Pilot Custom 845

写真: Pilot Custom 845 朱漆 / FA（フォルカン）

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カスタム８４５について

日本では9000年以上前から使われてきた伝統的な技法である漆塗りを施した、世界的にも評価の高い高級万年筆です。
首軸や天冠パーツの一部などには樹脂も使用されていますが、胴軸やキャップといった主要パーツにはエボナイトが使用されています。 エボナイトは、プラスチックとは異なり射出成型（溶かした材料を型に流し込んで量産する製造方法）が出来ないため、一本ずつ削ったりネジを切ったりしなければならないという特性を持った素材です。
このように量産には不向きなエボナイトを現代に於いてもあえて使用しているのは、この素材が漆との相性にとても優れているからです。
漆について強い思い入れを持つパイロットコーポレーションのこだわりを感じます。

日本産の漆を使用

カスタム845には、純日本産の漆のみが使用されています。 日本産の漆は塗膜が丈夫で密度が高いという特長があり、そのキメの細かい美しさは世界的にも高い評価を得ています。
日本産の漆は大変高価で、外国産の漆の数倍から10倍ほどのコストがかかるものです。

美しい蝋色漆(ろいろうるし)仕上げ

パイロット カスタム 845に使われている技法は、蝋色漆仕上げです。 蝋色仕上げとは、製造工程で油分を加えていない「蝋色漆」を使用した技法です。
蝋色漆は、油分を加えている一般的な漆よりも光沢をだすのに大変な手間がかかりますが、この技法で達成された光沢は格別に美しい鏡面仕上げとなります。 その工程は、漆を塗って硬化させたあとに表面を研磨してまた塗るという工程を繰り返すものです。
カスタム845では、この蝋色工程を３回繰り返しています。 加えて、漆を施す軸とキャップの素材にはエボナイトを使用しています。 エボナイトは、漆の食い付きが良く相性のとても良い素材ですので、長年のご愛用にも安心できます。
パイロットコーポレーションでは熟練の漆職人集団を雇用しており、この作業は外注ではなく全て社内で行っています。

ご使用にあたって

普通の塗料は、乾燥させることにより硬化する性質を持ちますが、漆は少し変わっていて、湿気を与えることにより硬化する性質を持っています。 漆にとって、オーナーの手から伝わる湿気や油分はとても癒しになり栄養になります。 それゆえに、漆の万年筆は使ってあげることが何よりのメインテナンスになります。 ぜひ可愛がってあげてください。
また、磨きこまれた美しい光沢と自然素材由来の手当りの優しさは、他の素材では体験しがたい触り心地とフィット感を生み出し、まさに手に吸い付く感じを味わえます。 試しに、いつもなら先端をしっかりホールドして書いているという場合であれば、その人差し指を真っ直ぐに伸ばしてしまっても指の腹へのフィットにより、かえって楽に筆記が楽しめることに気付かれると思います。
気を遣ってあげるべき点は、漆は強い光には弱いので、変色や退色を出来る限り避けるために、直射日光からは守ってあげてください。

漆の色について

漆は、光源や撮影の仕方によって様々な見え方をします。
このページの掲載写真の色が絶対的ではありませんので、
ご了承ください。
また、長期的な視点では漆は光にはデリケートです。
強い光や直射日光にあてることは変色を促進して
しまうことになるので、なるべく避けましょう。